人々が助け合い自然に寄り添う接続可能な農林水産省

豊富な森林と海洋資源に恵まれた日本では、各地の気候や生態、地形などを活かしながら農林水産業を営んできました。しかし、その条件は決して良いとは言えないでしょう。国土の約70%を山林が占めるため、耕地として使えるのはわずかです。山地も急峻な地形が多く、足場が悪いなかで行う林業の現場作業は並大抵ではありません。それでも人々が協力して森林の手入れ・管理を行い、日本の国土が都市化、工業化する中でも豊かな森林資源を守り、育んできました。日本の森林は、古来より建材や燃料等を供給することにより人々の暮らしを支えてきましたが、経済社会と森林・林業を取り巻く情勢が変遷している現在においても、木材生産に加え国土の保全、水源の涵養、地球温暖化の防止や生物多様性の保全等、様々な面で人々の暮らしを支えています。

農業も然りです。たとえば耕して天にまで至るとも言われる棚田。傾斜をならし、石垣を積みながら小さな一枚一枚の田んぼを築いてきた苦労がしのばれます。耕地を山地にも求めてきた日本の農業。北海道など一部の地域を除き広大な農地に恵まれなかったハンデを克服してきたのは、農家の人たちの知恵です。狭い畑でも季節に合わせて多種多様な作物を育てたり、標高差を利用して収穫期を伸すなど、自然を活かす工夫がさまざまな農法を生み出してきました。

資源を収奪せず、山に田畑に資源を蓄積していくという視点、漁業にもそれが等しくあります。伝統漁法のひとつ延縄漁では、仕掛けに使う針の大きさを調節することで小さな魚を捕獲しないようにしてきました。台風の常襲地域である日本の漁業も、「板子一枚下は地獄」と表現されるような厳しい環境のなかで営まれてきた歴史を有します。

豊かな自然は、人の介入を阻む一面も持ち合わせていますが、それらを無事に収めてきたのは人々の知恵であり、助け合うという「結」の精神です。かつて田植えを集落総出で行ってきたように、林業や農業、漁業の現場には今も「結」の心が受け継がれています。

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