日本の水田

水田を支える農業土木技術

稲作に欠かせない水。水田地帯では、安定して水を引き、栽培する農家に公平に分配することが、昔からの課題となっています。

この課題を実現してきたのは、人工の川・用水路(疏水ともいう)、水路橋、円筒分水工といった、田園地帯のランドマークともいえる施設です。

限られた水資源を自然環境との調和に配慮しながら有効活用する技術が、日本の水田を持続可能な生産システムとして形成させてきました。

日本の水田の高い生産性(全国平均水稲収量10アール当たり500kgを超える)の根底には、自然を生かしつつ制御する高度な農業土木技術の歴史があります。

【通潤橋=水路橋】熊本県山都町にある石造のアーチ橋。江戸時代の1854年(嘉永7年)に、水源に乏しい白糸台地へ通水するために造られた水路橋で、日本の独自技術で実現した最初の噴水管の橋とされ、地元の石工技術者集団(肥後石工)の技術の高さを示す歴史的建造物です(石造の通水橋として日本一の規模で、国の重要文化財に指定)。
*通潤橋・放水の解説:橋の中央上部に放水口が設置されており、かんがい利用が少ない農閑期に、観光客用に時間を区切って大規模な放水を行っている。この放水の本来の目的は、石管通路の内部にたまった泥や砂を除くためのもの。

【円筒分水工(槽)】川から引いた水を地下のサイフォン水路から溢れさせ、地区ごとの用水路に公平に分配するための施設です。このような分水工は、古くから全国各地につくられ、いろいろな形のものが存在しています。近年、溢れる水の美しさから観光スポットとして注目され、訪れる人も多くなっています。

【魚道】川をせき止めるダムや堰を設けるときは、魚類の遡上を助ける施設として魚道を設置します。また近年では、水田の生物多様性に寄与する手法として、田んぼと水路を繋ぐ水田魚道を設置する取組も進められています。