北海道、本州、四国、九州を中心に、南北に細長く分布する国土によって、かたちづくられている日本では、地域ごとにさまざまな文化が育まれてきたのです。

「和食」は日本が育んだ文化の最たるもの。地域色豊かな食が伝えられてきたことに加え、四季折々の恵みを上手に活かしていることが評価され、2013年にユネスコ無形文化遺産に登録されました。それぞれの季節を代表する食材の例をいくつかみてみましょう。

春は、山菜の季節。わらび、たらの芽、ふきのとうなどの山菜採りや、たけのこ 採りで里山は大にぎわいです。寒さがゆるむとともに芽吹いた草木の苦みは、人間の新陳代謝をよくし、体を目覚めさせると昔から伝えられてきました。

夏にだけ解禁する鮎釣りは、夏の川の風物詩。スタミナがつくうなぎは「土用のうなぎ」と呼んで暑気払いに欠かせない食材です。

実りの季節である秋は、山では椎茸、舞茸、松茸などたくさんのきのこや栗が、畑では大豆や芋類が食べ頃をむかえます。

寒さに負けないように、糖分をためこんだ野菜や、脂肪をたくわえた魚が、おいしいのは冬。大根、白菜、鰤、鱈などは、熱々の鍋の具材にぴったりです。さらに冬の寒さは、さまざまな保存食づくりの技術を発達させました。寒風にさらすことで水分を抜く凍み豆腐や凍み大根、干だらをはじめとした食材は、保存性を高めることで長距離移動にも耐え、地域間の食の交流を生みました。

食材の旬を的確に捉えて活用してきた日本人。ひとつの食材をとっても「はしり」、「旬」、「名残」と食べる時期によって区別するほどの繊細な感性は、変化に富んだ四季が育んだものにほかなりません。