祭りは一年の句読点

かつて、農業や漁業をはじめとした人間の営みは、今以上に自然環境の影響を受けてきました。人間がいくらがんばっても、自然の前ではちっぽけな存在。日本人は、食べものを育んでくれる海、山、川、土などの自然に感謝しつつ、祈りを捧げるしかありませんでした。

その祈りがかたちになったのが、全国各地のさまざまな祭りです。祭りは、共にはたらく人々の節目になり、ストレスを解消し、共同体の結束を強める役目も果たしてきました。

例えば、木出しの勇壮さで知られ日本三大奇祭の一つに数えられる諏訪大社の御柱祭では、諏訪地方の6市町村21万人の氏子が参加し、地区ごとに社殿の4隅にあるモミの木を建て替えるという共同作業が行われ、地域の結束及び伝統維持に貢献しています。

また、日本人の主食である「米」に関する祭りは、年間を通して、日本全国で無数に行われています。

春、三重県で行われる「猿田彦神社御田祭り」は、音楽にのせて着物姿の男女が田植えをし終えると、大きなうちわで「うちわずもう」をして、農作物の収穫高などを占い、豊作を願う舞を奉納します。田植え後には、水口やあぜにお供えをする「さなぶり」などの行事が全国的にみられます。

夏に行われる熊本県「御田祭り」は、青々と茂った稲を神様に見てもらうための祭り。白い衣に身を包んだ人々が、神輿をかついでゆっくりと歩きます。また、健脚を願って8月に行われる「福島わらじまつり」。2月に行われる「暁まいり」に由来し、無病息災・五穀豊穣などを願い、東北の短い夏を住民皆で楽しむために開催されています。2月と8月に片足ずつ奉納される大わらじは、長さ12m・重さ2tもあり、日本一と称されています。

秋に稲刈りを終えると収穫祭です。岐阜県で行われる「どぶろく祭り」では神社の酒蔵で醸された神酒を祭事に用い、獅子舞、集落ごとの民謡などが披露されます。

1年に1度の祭りは、祈りを捧げる場であると同時に、地域の人にとっての大事な娯楽でもありました。また、祭りで神輿を担いだり、舞を奉納したりして神事を担うことは、名誉だとされてきました。現代においても、毎年ふるさとの祭りには必ず帰る、という若者は少なくありません。それだけ、日本人の精神のよりどころとして、今も祭りは機能し続けているのです。

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