野菜をベースとした ヘルシーな食事

身体にやさしい調理法

「日本は島国。周囲は海です。山が多く、平地は少ない。明確な四季があり、気候も温暖。山からも里からも海からも、季節ごとに多彩な食材が生まれます。結果、時季になると巡りくる旬の食材を、ことのほか重んじ愛でる感性が養われました。旬のおいしさを引き出す調理法も多々編み出されてきました」と語るのは、食文化史研究家の永山久夫氏。

日本はまた、水が豊かな国でもあります。日本の食文化形成に水が大きく寄与しているといっても過言ではありません。口当たりがやわらかく、調理に適したまろやかな軟水ですから、水を活用したさまざまな食材や調理法が編み出されています。たとえば豆腐。水をふんだんに用いるため、水の良し悪しが味を大きく左右します。たとえばご飯。何度か米を水で洗ってから水を加えて炊き上げるため、水の質が味わいを左右します。

明治以降、西洋野菜が急速に普及し、戦後はサラダが食卓にのぼるようになりましたが、伝統的にはゆでたり、煮たり、揚げたりと、加熱して食するのが日本の慣習でした。代表的なのが、たっぷりの湯でゆで上げ、場合によっては調味した汁に浸す、お浸し。また、れんこんやごぼうなどのあく抜きにも水は活躍してくれます。いずれも水に恵まれた日本ならではの調理法です。

「煮物」は世界でもっともポピュラーな料理法といわれますが、日本においては素材の味を最大限生かすよう、水あるいはだし汁で煮て、醤油や酒、味噌など、大豆や米に由来する発酵調味料でととのえるのが特徴です。汁物や蒸し物もおいしい水でとるだし汁がベース。昆布やかつお節の持ち味を抽出できるのは軟水ならではの妙といえましょう。

食物繊維やミネラルが多く含まれる食材を、脂質をほとんど使わずにバランスよく取り込める――そんな日本の調理法が、和食をいっそうヘルシーにしていることは間違いありません。